介護福祉事業を取り巻く環境


介護報酬の抑制

少子高齢化の進行を背景にした財政の悪化を理由に厚生労働省は介護報酬の抑制姿勢を強めています。こうした中、平成30年度介護報酬改定は厚生労働省発表ベースで改定率:+0.54%となっています。

 


人材確保の困難

介護報酬が公定価格であるにも拘わらず人件費については労働市場で給与水準特に時給や初任給が決まることとなります。この間、有効求人倍率の上昇に伴い、私どもの関与先でも時給のアップや処遇改善交付金による給与への反映を行ってきています。しかし、実際には採用はより厳しくなっている状況があります。

 


人材紹介会社依存

採用難や退職による人材不足にも拘わらず利用者へのサービス提供は待ったなしです。そうした中、人材紹介会社を通じた採用や派遣受入が広がっており、その手数料が経営を圧迫している現状があります。



ロボットや外国人は解決策?


介護ロボットの現状

私どもが伺っている特別養護老人ホームでもパワースーツの導入やお話しロボットの導入が行われています。しかし、パワースーツについてはまだ使いにくいとの声を聴いた他、お話しロボットも実験として大学の研究者がおいている段階です。


外国人活用

私どもが伺っている法人に聞いてみたところ、やはりサービスの質的側面で不安があり導入は考えていないとの声が多いのが現状です。また、介護への外国人材の受入については政府は毎年1万人の受入を目標としていますが、彼らの処遇については課題も多いのが現状ではないでしょうか?処遇問題が解決されない中での外国人の導入を急速に進めれば、フランスやドイツで起こっているような排外主義的な過激行動を引き起こし、治安の悪化を招く可能性は高いと考えます。



情報システムの高度活用


少子高齢化の影響

少子高齢化に伴い、介護需要は増大する一方担い手が不足することは明らかです。さらに、少子化に伴い他産業でも人手不足が進行しており、介護福祉産業の人手不足がより深刻になるのは火を見るより明らかと言えます。


労働装備率の高度化

こうした中でサービスの質や量を確保するには、介護福祉職の一人当たり付加価値を増加させる以外にはありません。しかし、労働密度を増大させたり、労働時間を延長する対応では更なる離職や採用難を招くことも明らかです。従って、労働装備率を上げることが必須です。


情報システム高度化

私どもが伺っている法人でも介護システムを一新し、利用者宅に張付けたICタグと自分のカードをハンディ端末で認識し、利用時間(と労働時間)の計測を行い、保険請求までシームレスに行うこととなったところもあります。更にそのデータを給与システムに取込み、給与計算の時間短縮を目指しています。こうした仕組み作りが欠かせないことは言うまでもありません。



会計から職員を開放


有効な職員配置

介護保険や福祉事業の会計は複雑であるとともに、日商簿記等の資格があっても企業会計の知識であるため対応が難しい側面もあります。特に社会福祉法人では社会福祉法人会計基準や厚生労働省通知を理解しなければ対応できません。

従って、経営者や職員が決算書を理解することは必要でも会計業務を職員が行うことは必ずしも合理的とは言えません。むしろ現場や他の管理業務に人件費を重点配分してサービスの質と量の確保に努める方が有用と言えます。


担当職員の離職対応

会計担当職員の離職があった場合、補充するとしても、再離職のリスクや人件費の問題もあります。独特の会計処理について教育訓練するにも教えることが出来る人材がいない場合もあるでしょう。


弊事務所にご相談を

弊事務所では会計処理や決算書作成の受託を行っており、会計処理や決算に必要な基礎資料の作成や情報伝達方法についてもアドバイスしております。上記の悩みがある場合是非ご相談下さい。また、必要な場合は施設展開の採算性計算をはじめとする経営の相談にも応じております。